1. 歯並びは「遺伝」だけではない?
こんにちは。
「歯並びが悪いのは親の遺伝だから仕方ない」と諦めていませんか?
確かに骨格的な遺伝要素はありますが、実はそれ以上に、幼少期の「生活習慣」や「癖」が歯並びや顎の成長に大きな影響を与えていることが分かっています。 これを「口腔機能発達不全症」と呼びます。
今回は、歯並びが悪くなる根本的な原因について掘り下げていきます。

2. 負の連鎖:口腔機能発達不全の原因
歯並びが悪くなるまでには、いくつかのステップがあります。
1. 根本原因: アレルギー性鼻炎(鼻詰まり)、舌小帯短縮症、そして「生活習慣(食事・姿勢)」など。
2. 代償性原因(機能の乱れ): 鼻が詰まると「口呼吸」になります。口呼吸になると、舌の位置が下がる「低位舌」になります。
3. 結果: 舌が正しい位置(上顎)にないため、顎が横に広がらず「顎が小さい」ままになります。また、飲み込み方がおかしくなる「異常嚥下」や、唇の力が弱い「お口ポカン」が定着します。
4. 最終結果: 狭い顎に歯が並びきらず、「歯並びが悪く」なります。
つまり、歯並びは結果であり、その裏には「呼吸」や「舌の癖」という原因が隠れているのです。

3. 「お口ポカン」と口呼吸の恐怖
テレビを見ている時やゲームをしている時、お子様のお口がポカンと開いていませんか?
本来、人間は鼻で呼吸するのが正常です。鼻は「天然のマスク」であり、外気を加湿・加温し、ウイルスやホコリをブロックするフィルター機能を持っています。
一方、口呼吸には多くのデメリットがあります。
・歯並びの悪化: 舌が上顎を押し広げる力が働かないため、上顎が狭く深くなり、出っ歯やガタガタの歯になります。
・感染症リスク: 乾燥した冷たい空気が直接のど(扁桃)に当たるため、炎症を起こしやすく、免疫力が低下します。
・姿勢の悪化: 気道を確保しようとして頭が前に出て、猫背になりがちです。
・顔貌の変化: 口元が締まりのない顔つきになり、顔が長く見えるようになります。

4. 成長のゴールデンタイムを見逃さない
上顎の成長は、10歳頃までに成人の約90%程度まで完了します(Scammonの発育曲線)。
つまり、小学校低学年くらいまでの時期に、口呼吸や舌の癖を治し、上顎を正しく成長させることが非常に重要なのです。
この時期を過ぎてしまうと、骨格的な改善が難しくなり、本格的な矯正治療(抜歯を伴うワイヤー矯正など)が必要になる可能性が高まります。

▲Scammonの発育曲線
5. 姿勢と食事の関係
「姿勢」も重要です。食事中に足がブラブラしていませんか?
足の裏がしっかりと床についていないと、噛む力が20%も減少し、噛む回数が1/4に減るというデータがあります。
姿勢が安定しないと、しっかり噛むことができず、丸飲みにつながります。
当院の管理栄養士やスタッフは、食事中の椅子の高さや、足置きの調整など、ご家庭でできる具体的なアドバイスも行っています。

6. 矯正治療の後戻りを防ぐために
せっかく矯正治療できれいな歯並びになっても、口呼吸や舌の癖が治っていなければ、装置を外した後に必ずと言っていいほど「後戻り」します。
「なぜそうなったのか?」という原因を解決しなければ、本当の意味での治療とは言えません。
だからこそ当院では、矯正装置だけでなく、次回お話しする「MFT(口腔筋機能療法)」を併用し、お口の機能を根本から改善することに力を入れています。

監修:田中 秀直
経歴:
2001年3月 朝日大学歯学部 卒業
2001年4月 第94回歯科医師国家試験合格/歯科医師免許取得
2001年4月 大阪歯科大学大学院 歯学研究科(口腔衛生学専攻)
2001年4月 大阪歯科大学附属病院 予防歯科 勤務
2005年3月 大阪歯科大学大学院修了/歯学博士取得
2006年 西宮 白石デンタルクリニック・脇歯科医院 勤務
2007年 田中歯科医院 勤務
2012年 ハーバード大学(USA) エステティック&インプラント卒後研修プログラム修了
2012年 ペンシルバニア大学(USA) エステティック&インプラント卒後研修プログラム修了
2014年 医療法人 田中歯科医院 設立
職歴:
大阪府歯科医師会附属歯科衛生士専門学校 非常勤講師(2009年~)
大阪歯科衛生士専門学校 非常勤講師(~2004年)
国際東洋医療柔整学院 非常勤講師(~2004年)
国際東洋医療鍼灸学院 非常勤講師(~2004年)
太成学院大学歯科衛生専門学校 非常勤講師(~2008年)
行岡保健衛生学園歯科衛生科 非常勤講師(~2009年)
ビクトリアキッズイングリッシュアカデミー 園医(2014年~2015年)
保育ママスキップの委任状 園医(2015年~)
歯科外来診療環境体制加算の施設基準に係る研修(2015年~)
エンジェルキッズ 園医
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